大分県日田市豆田町の天領日田おひなまつりに行ってきました。
今年(2018年)のおひなまつりは2月15日(木)~3月31日(土)までで 私が行ったのは初日の2月15日。あいにくの雨で人出はいまひとつのようでしたが、おかげでゆっくりと見学することができました。
今回は その時に撮った写真を紹介したいと思います。
雛人形 昭和30年以前の御殿飾り
御殿飾りは 江戸後期からの雛飾りで明治・大正と豪華さを増し 戦後は西日本で流行しました。昭和30年以降は、今の7段飾り・5段飾り・3段飾りなどの「段飾り」が主流になって 御殿飾りは今では ほとんど見かけません。
(天領ひな御殿にて撮影)
私が昔持っていたお雛様がこれでした。懐かしい…。
いいんですよ、これ。
豪華な御殿と小さめで精巧なお雛様。
まず御殿を組み立てるのが ものすごく面白かったです。ダボのようなものを穴に差し込んだり、パーツを組んだりするだけなので、子供でも簡単に組み立てができるんですよね。御殿を完成させたときの達成感。一年に一度しか味わえないのが残念なくらいでした。
それに ちょこちょとした小さな小道具がたくさんあって。ひとりひとりに持たせる過程も楽しいし、コソコソと遊ぶのも面白い。小さなころは お人形さんの首を抜いて入れ替えたりして親に怒られた記憶もあります。
お雛様と女官を入れ替えたり
いつも座っていると疲れるからって寝かせてみたり
「喧嘩したところ」って言って男雛と女雛を反対向きにしたり
「仲良くなったところ」って向き合わせたり
ついつい手が出てしまうからか 女雛の髪が 若干ほつれていた記憶があります。
でも 不思議と あの小さな小道具類が 一つもなくなっていなかったので それなりに大事にしていたのでしょうね。
今考えると ものすごくよくできた雛飾りですよね。材料も全部 本物の布とか木材とか、い草とかだったし。
右大臣と左大臣のブーツがかっこいいなあと、毎年子ども心に思った記憶も…。お殿様よりも随臣の方がかっこよく見えたんですよね。
そして仕丁の帽子がどうやっても傾いてしまうので 最後は諦めて傾いたまま飾ってたり、小道具の持たせ方がわからないので適当だったりは 毎年のことでした。
雛人形 昭和30年代以降の段飾り
先ほども書きましたが、関東から西日本にかけて主流だった「神殿飾り」は昭和30年代に「段飾り」へと変わってきました。段飾りとは 階段のような段々にお人形を飾ることです。3段飾り・5段飾り・7段飾りという風に段数には奇数を使います。これは 陰陽道(古代中国の陰陽説)で偶数は陰、奇数は陽とされていることに由来します。
1月1日(元旦)、3月3日(桃の節句)、5月5日(端午の節句)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽の節句)などもそうですね。
今回 たくさん写真を撮らせていただいた天領ひな御殿では江戸時代(享保、天保)の雛人形~現在の雛人形まで三千体以上を公開しているそうですが、特にたくさんのお雛様が集合しているのが この雛段だと思います。段飾りですが、何段あって、何人いるのかが よくわかりません。とにかくたくさんのお雛様がいらっしゃいます。この段飾りは よくテレビでも放送されています。
お道具いろいろ。思わず欲しくなります…。
色打掛
御所車(ごしょぐるま)
(天領ひな御殿にて撮影)
親王飾りの雛人形
親王飾り(しんのうかざり)は男雛と女雛だけの雛飾り。コンパクトで場所を取らないので最近人気ですね。お人形が少ないので その分お人形さんや小物を豪華にしたり 細かく作りこんだりと高級感がある親王飾りも多いです。モノトーンのお雛様やシックなお雛様もインテリア感覚で飾れるので洋風のリビングでも違和感がないということで 増えてきているようです。
また 最近はキャラクターのお雛様も多いです。「昔 家にあったひな人形が怖かった」というママだったらキャラクターの方を買ってしまうかもですね。お雛様は 平安時代の「お人形遊び」が もともとの起源という説があります。子供が触れたくなるようなお雛様の方が 子どもにとって良い思い出になるかもしれませんね。
(天領ひな御殿にて撮影)
上の「御殿飾り」とは、男雛と女雛の位置が逆なのに気が付きましたか?
向かって右側に男雛がいるのは京都風の飾り方です。もともとの日本の風習では「左」の方が位が高いとされています。なので左側(こちらから見て右側)に天皇、反対側がおきさき様になります。
でも最近のお雛様は関東雛が主流です。関東風のお雛様は 向かって左が男雛になります。これは大正天皇が即位したときに西洋のスタイルを取り入れたからだという事です。
下のお雛様は立ち雛です。天皇が向かって右になっていますね。
木目込みの雛人形
木目込み人形は、土台になる木に細い溝を入れ、そこに布を入れ込むようにして作るお人形のことです。布を入れ込んでいくのでフォルムが丸くかわいらしいお人形さんが多いです。
木目込み人形に対して 着物を着せている方のお雛様(要するに普通のお雛様のほうです)を「衣裳着のお雛様」と呼ぶこともあります。
(天領雛御殿にて撮影)
おきあげ雛
「おきあげ雛」は九州の筑後川周辺で飾られるおひなさまで、綿を布でくるんで張り付けただけのとても素朴なお雛様です。もともとは江戸時代に始まった「押絵」が羽子板や竹串押絵雛や掛軸押絵雛にと色々な形で各地に広まっていったものだということです。
豪華なおひなさまは買えなくても 子どもの成長を祝いたい気持ちから作られました。
おきあげ雛に関心がある方は、天領ひなまつりの期間中は天領日田資料館で「おきあげ雛展」が開催されていますのでそちらがおすすめです。
(天領日田資料館にて撮影)
(天領雛御殿にて撮影)
NHKで放送された時の動画です。ぜひ ご覧になってください
NHK新日本風土記アーカイブス 大分 おきあげ雛
百歳雛
雛人形は、天皇家の結婚式がモチーフなので かわいらしいもの、お若いきれいな姿のものが多いのですが、こちらのお雛様はご夫婦ともに見事な白髪(はくはつ)です。
画像がピンボケですいません(;^_^A アセアセ・・・
正面一番上が百歳雛、手前のほうに「おきあげ雛」、その下には歌舞伎人形が並べられています。
写真を撮らせていただいたのは日本丸館です。こちらは安政2年(1855年)~昭和40年代に製造されていた日本丸(にっぽんがん)という薬を製造販売していたところです。今は、当時の建築物や生活用品・薬の製造方法などを展示している資料館になっています。
母屋2階には「噴水つきの庭」があった、ということですので、当時の繁栄ぶりは いかほどか…という感じですね。
百歳雛は、子供の初節句のお祝い以外にも 長寿のお祝いとして夫婦ともに仲良く元気で過ごせるようにと 喜寿・傘寿・米寿・卒寿・百寿のお祝い品、金婚式の記念品として贈られることがあります。
吊るし飾り
つるし飾りとはお人形や手まりなどの飾りを糸でつないで、天井などから吊るす飾りのことです。九州では福岡県柳川の「さげもん」が有名です。
雛段を豪華に飾るためにたくさんの「さげもん」を飾った他、おひなさまを用意できないときの代わりとしても飾られました。
写真正面から右側に「おきあげ雛」、左側の壁に添って「さげもん」が飾られています。
手前に大きく「さげもん」です。
今度柳川にも行ってみたいと思ってます。
その時には また写真をたくさん載せますね(*^_^*)
手芸店に行くと、小さなつるし飾りのキットが売られていますね。テーブルや玄関などにも飾れますし、お雛様の横に下げると雛飾りが華やぎます。作り方も簡単なのでおすすめです。
土人形その他のお雛様
土人形とは粘土質の土を焼いて作る人形のことで、九州では「博多人形」が特に有名です。だるまさんやこけしなどをモチーフにしたひな人形や、その地域特有のひな人形などもあります。
(天領ひな御殿にて撮影)
(日田天領資料館にて撮影)
終わりに
大分県日田市豆田町は、とても小さな町で グルリと一周回るだけなら20分くらいです。その小さな町では もちろん生活している人もいるので、病院や銀行もあって、さらに観光地なのでお土産物屋さんもあって、お寺があって、醤油やさん、酒造屋さん、歴史資料館、国指定重要文化財、国指定史跡、国登録有形文化財、旅館、ラーメン屋さん、蕎麦屋さん、羊羹やさん、うなぎ屋さん、喫茶店、などなどなどなど、いろんなものがごっちゃになってます。ちょっとカオスです。地図をいただいて 案内書の人にお雛様がある場所も教えてもらったんですが、ものすごくわかりにくいんです。
私が行った日は雨だったんですが 狭い道で 車も普通に走ってるし 観光コースなのに歩きにくいんです。
ええもちろん 私はものすごい方向音痴だし、自宅近くでも娘に注意されるくらい注意力が散漫です。
豆田町は悪くない。
しかし 私のように 方向音痴でも 注意力が散漫でもわかりやすい感じにしてくれると嬉しいなあ、贅沢をいってみる。
うん。
豆田町は悪くない。基本 私は どんな場所でも迷う人なんだし(-_-)/
さて。
上でも書きましたがひな人形の起源は「おひなあそび」。
女の子が思わずそっと触れてみたくなるような、そんなお雛様との出会いがあるといいですね。
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