樹木希林さん・黒木華さん・多部未華子さんが出演した映画「日々是好日」。
四季折々の水の音・風の音。
静かに 移ろいでいく時間。
まるで主人公と一緒にお茶をいただいているような気分になる映画でした。
今回は映画の題名「日々是好日」の読み方や意味などについて考えてみようと思います。
「日々是好日」の読み方は?
「日々是好日」は「ひびこれこうじつ」と読むのが一般的です。
もともとは 禅宗で使う言葉で その場合は「にちにちこれこうにち」と読みます。
でも
映画の中では武田先生(樹木希林)が
「にちにちこれこうじつ」と読んでいますね。
※読み方については 原作の作者の森下典子さんが「にちにちこれこうにち」の方が正しいかもしれないが、お稽古場では「にちにちこれこうじつ」と読んでいたので読み慣れている読み方を取ったと書かれています。
「毎日が何事もなく良い日」だという意味です。
何もない、というのは ホントはとても大切ですごく幸せなことなんですが、どうしても忘れてしまうのが人間です。
映画の中では 主人公が、天気の良い日だけでなく、
梅雨の雨、秋の雨、豪雨の音、風の音などに心を動かし
年齢を重ね、季節を重ね、その中での新しい発見に驚き、
それぞれが「良い日」だと感じています。
そのうえで、一瞬一瞬は二度とない時だと気づいたり
人との出会いや別れについて考えたり
自然と一体になる瞬間を感じたり、と
…どこまでも奥深く 尽きることのない かなり濃厚な精神世界の話になりそうなテーマですが
美味しそうな季節の和菓子が画面に映し出されるので
食欲が刺激されて。
お腹がすくばかり。
どうも 私はいくつになってもこんな風なので仕方ないですね(*^_^*)
さて せっかくですので、この「日々是好日」の豆知識も少しご紹介しますね。
日々是好日の茶道の流派は?
武田先生が教えているのは「表千家」。
私は お茶はしませんが
私の友人に表千家の茶道の先生がいます。
その友人が「樹木希林さんのお点前は とてもきれいだった」と言っていました。
日々是好日の原作の本は?
映画「日々是好日」の原作は日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)です。作者は森下典子さんで、実際に25年間お茶を習って その体験に基づいたエッセイになっています。
内容もですが、本編後の柳家小三治さんの解説も素敵でした。
茶道などに否定的な方や「物語」として読みたい方、理論的なエッセイが好きな方には、あまり向かない本かもしれませんが
お茶や日本文化に関心がある方には おすすめです。
物語の最初で主人公が観た映画は?
映画の冒頭 主人公 典子が小学校5年生の時に見て「サッパリ意味がわからない」と言っていた映画は、フェリーニの代表作「道」という映画です。
「道」のストーリーは茶道に通じるものがあると思いますが
小学校の5年生と その弟も連れて行って一緒に観たという作者のご両親は ものすごく映画が好きだったのでしょうか。それとも単に有名な映画だからという好奇心だったのでしょうか。いずれにせよ 小学生の姉弟を連れてのフェリーニ。
私だったら子どもを連れてのフェリーニはナイ。
作者のご両親も「武田のおばさん」と同様に「ただものではない」人ではないかと そんな気がします。
樹木希林さんの遺作は?
本編でお茶の指導をする武田先生を演じていた樹木希林さんは2018年9月15日に亡くなられました。
最後の主演作品は2015年の「あん」になります。
「日々是好日」の前作は カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」ですね。
そして樹木希林さんの遺作となるのは来年(2019年)公開予定で浅田美代子さんとの共演作「エリカ38」になります。
樹木希林さんのご主人は ミュージシャンの内田裕也さん。
お子様は内田也哉子さん。
そのお婿さんは 「おくりびと」で日本アカデミー賞やブルーリボン賞などの多数の賞を受賞した本木 雅弘さんです。


おわりに
日々是好日の上映会場には和服の女性がたくさんいらっしゃいました。映画観賞に和服の女性、というこれまでに経験したことのない風景に驚きました。しかも平日だというのに入場者も多い。
私は娘と一緒に観賞しましたが、観賞後、娘と一緒の帰り道、ふたりして黙って歩きながら
一人で観るよりも 誰かと観たほうがいい映画だったな、
娘と一緒に来れてよかったな、と なんとなく思ってしまいました。
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